絹川 千尋
詳しいプロフィールはこちら日本産業衛生学会産業衛生専門医/日本医師会認定産業医/社会医学系指導
日本産業衛生学会指導医、社会医学系指導医、日本医師会認定産業医、メンタルヘルス法務主任者専属として勤務。その後中小企業を対象とした産業医として独立し、株式会社産業医システムズを設立。現在は統括産業医として、産業医に指導をしながら、チーム制による産業保健活動を行う。
1.はじめに
早速ですが、休職に入った従業員や復職する従業員を支援する上で、このような課題に直面したことのある方はいらっしゃいませんか。
・病気で休職した従業員の復職支援を行っていたが、就業規則に定められている期間内に回復せずにそのまま退職となってしまった
・復職後は短時間勤務からはじめた方が良い状態であったが、会社に短時間勤務の制度がなかったため、仕事を続けることができなくなってしまった従業員がいる
従業員の健康管理と就業規則をはじめとする会社の制度は、切っても切れない関係にあります。
なぜなら一般的には、会社の制度という限られた範囲のなかで、健康管理や健康支援を行う必要があるためです。制度が十分なものでなければ、従業員にとってそれだけ働き方の選択肢が狭まり、その結果、退職に至ってしまうようなケースもあるでしょう。貴重な人材がいなくなることは、会社にとっても大きな損失になります。
病気を発症した従業員を支援する上で、具体的にどんな制度が必要なの?と疑問に思う方も少なくないでしょう。そこで活躍するのが産業医の存在です。制度や仕組みづくりは人事労務部門の仕事であり、一見産業医とは関係のないことのように思う方も多くいらっしゃると思います。しかしながら、産業医が会社の制度や仕組みづくりにかかわることによるメリットは沢山あります。この記事では、従業員の休復職にかかわる制度づくりに、産業医がかかわることのメリットについて、詳しくご説明します。
(※)休職制度がない会社もありますが、ここでは私傷病により長期にわたって会社を休業することを休職としています
2.産業医をお探しの方は産業医システムズへ!
産業医システムズにはメンタルヘルス相談対応の経験が豊富な産業医が複数在籍しています。
さらに、産業医を指導できる資格をもつ産業医が統括産業医として、担当産業医をサポートすることで産業医サービスの質を保障します。
産業医の訪問時間以外に産業医への相談はできない事が一般的ですが、当社では担当産業医の訪問日以外は、統括産業医が相談に対応します。
また、産業医システムズには産業保健師がいるため、産業保健師のサービスも提供可能です。
統括産業医、担当産業医、産業保健師がチーム一丸となり会社や従業員を企業の担当者をサポートできるのは、当社ならではのサービスです。
従業員のメンタルヘルス相談への対応や、従業員の休復職に関連する制度づくりでお困りの担当者の方は、この機会にぜひ産業医の選任を検討してみてはいかがでしょうか。
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3.従業員の病気と会社の制度の関連性
3-①.メンタル不調者への対応と就業規則の関連性
昨今はメンタル不調によって休職する従業員は増加傾向にあり、過去1年間にメンタル不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.6%(前年度は8.8%)にのぼると言われています。(出典)
メンタル不調者への対応は、個別のケースによって対応が様々であり、なかには企業の担当者が対応に苦慮するようなケースも発生します。そこで大切なことは、対応の根幹となる会社の就業規則、衛生管理規定などの制度や仕組みづくりをしっかりと行うことです。
もちろん画一的な対応のみでは不十分ですが、土台をしっかりと作っていくことで、対応が困難なケースであっても土台に立ち返って、公平・公正に従業員に対応することができます。
3-②.多様な働き方に応じた制度づくり
メンタル不調のみならず、がんの治療や人工透析など、治療と仕事を両立しながら働くことを希望している従業員も多く存在します。働き方が多様化するいま、短時間勤務や在宅勤務など、従業員の健康状態に応じて、会社が多様な選択肢を提供できることが求められています。
一方で昨今の現状に対して、土台となる制度や仕組みが現状に追いついていないケースも多くみられ、土台の見直しの必要性を感じている企業様も少なくないでしょう。
4.産業医が制度づくりにかかわることで得られる3つのメリット
メリット①人事労務担当者の負担軽減につながる
新しい制度をつくるためには、様々なリスクや可能性を踏まえて綿密に検討することが求められるため、担当者の負担が大きくなる傾向にあります。そこで産業医が制度づくりのチームの一翼を担うことで、企業の人事労務担当者の負担を軽減することにつながります。
産業医は制度づくりにおいて助言を行いますが、労働安全衛生法などの法律の知識も豊富です。助言を受けた上で最終的に内容を策定するのは会社ですが、産業医に相談することで人事労務担当者は一から調べたりすることなく制度作りができます。新しい制度をつくったり、制度の改革を行う場合は、産業医と人事労務部門が一丸となって、より良い制度づくりに向けて取り組んでいくことが大切です。
メリット② 医学的な知見を踏まえた助言が得られる
産業医による助言の特徴は、医学的な知見をもとにしたアドバイスという点です。
早速ですが、皆さまの会社の就業規則において、休職できる期間はどのように定められているでしょうか。勤続年数に応じて休職可能期間が傾斜付与されている会社もあれば、勤続年数に関係なく一律で定められている会社もあるでしょう。
例えば、休職期間が3か月付与されている従業員が、うつ病でお休みに至った事例を考えてみましょう。個人差もありますが、うつ病の場合、一般的には回復までに約半年程度を要するとされています。もし就業規則で休職可能期間が3か月と定められている場合、回復までに十分な期間があるとは言えません。その場合、病状が回復せずに、そのまま休職期間が満了となって退職となってしまうか、無理をして復帰をした場合でも再発によって再休職が必要となるケースもあります。このように退職や再休職となってしまった場合、従業員の今後のキャリアに影響が生じることはもちろん、会社にとっても大切な人財を失うことにもつながってしまいます。
産業医が、会社の状況や病気の特徴を踏まえた上での助言を行い、会社がその助言をもとに制度を構築することで、こうした退職や再休職といった事象を防ぐことができる可能性があります。
メリット③ 他社事例など経験を踏まえた助言が得られる
会社の制度や仕組みづくりは、従業員にとって有益なものとなるだけではなく、会社を守るという側面があることも忘れてはいけません。ルールを定めておくことで、そのルールをもとに従業員に説明したり、時には適切な形で指示や勧告をすることができるのです。
そのため、制度は起こり得る様々なリスクを考慮した内容であることが求められます。企業のご担当者様のなかには、従業員の健康管理に関わってきた期間が浅く、起こりうるケースを想定することが難しい方もいらっしゃるかもしれません。そのような中で産業医は、他の企業の産業医も経験していることが多く、他社の就業規則や制度を良く知っていることがあります。さらに、今まで多くのメンタル不調の従業員に対応した経験から、『このようなリスクがあるため、このルールはこうするとよい』という助言を得ることができます。
このような実例を踏まえた助言を得ることができるのは、制度づくりに産業医をはじめとする産業医がかかわることの大きなメリットといえるでしょう。
5.まとめ
以上、今回は会社の休職・復職等の制度や仕組みづくりに産業医等の産業医がかかわるメリットについてご説明してきました。産業医の職務は面談をしたり、健康診断の判定をしたりするだけではなく、会社の土台となる制度や仕組みづくりにも携わることができることをご理解いただけましたでしょうか。
会社として様々な働き方に応じた選択肢を提供することは、従業員にとって安心して働ける職場環境にもつながり、結果として従業員のワークエンゲージメントを高め、労働生産性の向上に寄与することになるでしょう。
会社と従業員双方にとって有益な制度・仕組みづくりのためにも、ぜひ産業医をはじめとする産業医をご活用ください。
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